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本人確認法 |
2006年12月26日
2007年1月4日からは、FATF(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止のための政府間機関)の勧告に基づき、10万円を超える現金振込について
は本人確認が必要になります。ただし、現金でなく預貯金口座を通じて振込みを行う場合には、ATM・窓口のいずれにおいても、引き続き従来と同様のやり方
で振込みを行うことが基本的に可能です(口座開設時に本人確認手続きが済んでいない場合には、本人確認書類の提示がないと振込みができないことがありま
す)。
これは、かなり不便と感じる人も出てくると思います。ただ、この法律の目的は、マネー・ローンダリングやテロ資金対策なので我慢する必要があると思いま
す。
<10万円を超える振込み>
・現金での振り込み
ATM→不可能
窓口→本人確認書類必要
・預貯金口座からの振込み
従来どおり
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生活保護 |
2006年12月11日
生活保護とは、さまざまな事情で生活に困っている人に対して、最低限の生活を保障するとともに、自立を手助けする制度です。
世帯全体の給与や年金、各種福祉手当、仕送りなど全ての収入を合わせても、国が定める最低生活費に満たない場合に、その不足分に対して保護費が支給され
ます。その際、困窮にいたった理由は問われません。
ただし、各種の社会保障施策による支援(年金や児童扶養手当、失業手当などは受けられないかなど)、不動産等の資産、扶養義務者による扶養、稼働能力(働
く能力があれば働く)等の活用が保護実施の前提になります。
それでもなお、最低生活費に不足する場合に、次の8種の扶助が必要に応じて受けられます。
(1)生活扶助-衣食、水道光熱費など日常生活に必要な費用
(2)教育扶助-義務教育を受けるのに必要な費用
(3)住宅扶助-家賃や地代(住宅ローンは除く)
(4)医療扶助-診療、薬代、手術代など病院にかかる費用
(5)介護扶助-介護保険料と自己負担費用
(6)出産扶助-出産のための費用
(7)生業扶助-技能習得や就職支度など仕事につくための費用
(8)葬祭扶助-葬祭のための費用
生活保護の申請は、まず役場か福祉事務所に相談に行くことから始まります。その後、福祉事務所の調査を経たうえで生活保護が支給されるか否かが決定され
ます。
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子育て費用はいくらかかる③ |
2006年11月23日
3回にわたってお話をしてきた子育て費用ですが、最終回の3回目は「教育費」です。
次のデータは、AIU保険会社の2005年度の調査を参考に作成したものです。
幼稚園から大学まで(以下原則として私立でない場合は公立とします。)
①すべて公立・国立→教育費合計1345万円
②私立幼稚園と私立大学文系→1540万円
③私立幼稚園と私立大学理系→1656万円
④私立幼稚園、私立高校、私立大学文系→1767万円
⑤幼・中・高私立、私立大学理系→2179万円
⑥幼・中・高私立、私立大学医・歯系→4424万円
このように、教育進路によって、教育費は大きく変わります。
それでは最後に、前回の追加生活費と今回の教育費を合計してみましょう。
■子ども1人、標準進学コースの場合
例えば、子ども1人で、幼稚園は私立、小・中・高は公立、大学(文系)は、私立の標準進学コースを考えると、追加生活費775万円+教育費1767万円=2542
万円になります。
■子ども2人、標準進学コースの場合
子ども2人の場合で、2人とも同様の標準進学コースを考えると、追加生活費は、1人目775万円に2人目611万円を加えて1386万円。教育費1767万円が2人
分で4920万円になります。
子ども2人を育て、大学まで行かせるのになんと4920万円、気が遠くなる金額です。やっぱり、子どもにはお金がかかるのは否定できないようです。
以上は、東京の統計で計算していますので、熊本は2割ぐらい低いようです。それでも3936万円ですけど・・・
おわり
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子育て費用はいくらかかる② |
2006年11月14日
子どもが1人増えたら、どのくらい生活費は増えるのでしょうか?たとえば、夫婦2人の生活から子どもが増えていく場合で考えて見ましょう。
総務省「家計調査」(2003年)によると、子どもが増えた場合の追加費用は、
一人目・・・775万円
二人目・・・611万円
三人目・・・523万円
子ども1人を22年間育てた場合に増える生活費が775万円だとすると、1年当たり35.2万円、1ヶ月当たり2.9万円になります。言い方は悪いですが、1ヶ月約3
万円で子どもは育つと言うことです。これを安いと見るか高いと見るかは、家庭によって違うでしょう。
ちなみに、2人増えた場合の追加生活費は611万円、3人目は523万円と次第に追加生活費は少なくなります。
以上ですが、まだ大事な教育費が入っていません。
これは次回に!
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子育て費用はいくらかかる?① |
2006年10月26日
子どもを一人育てるには、いくらかかるとおもいますか?まずはこんな統計を見てください。
厚生労働省「少子化に関する意識調査」(2004年)によると、子どもを1人育てるのに必要だと考える最低限の世帯年収は、すでに子どものいる夫婦の場合、
夫は591万円、妻は567万円と回答しています。一方、子どものいない夫婦の場合、最低限必要な世帯年収を夫は714万円、妻は594万円と回答しています。
これからわかりますように、子どものいない夫婦は、子どものいる夫婦よりも、子どもを育てるのに必要な世帯年収を高く見積もっているということになりま
す。特に夫の差はすごいですね(笑)。これは、子どものいない夫婦は、感覚的に「子育てには、お金がかかる」と思っていて、実際には、「いくらお金が必要
か、分からない」というのが本当のところではないでしょうか?
つづく
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共済とは?② |
2006年10月13日
それでは無認可共済はどう変わっていくのでしょうか?
2006年4月から保険業法が改正され、不特定の者だけでなく特定の者を対象とする無認可共済も保険業法の規制を受けることになりました。無認可共済はこれか
ら下記3つの中からいずれかの選択をすることになります。
①保険会社になる
但し保険会社となるにはそれなりに多額の資本が必要なので、小規模のところではこれは難しいのが現実です。
②少額短期保険業者になる
保険会社になれない中小の業者は、少額短期保険業者になれます。
少額短期業者になれば一定の制約の中で保険販売が可能になっています。その名の通り(扱う金額が)少額で、(保険期間が)短期のものというのが大きな特長
です。
③特定保険業者になる
これは暫定的なものですが将来的にどのようにするか決めかねている無認可共済は特定保険業者として現行の制度を継続することができます(但し2009年3月ま
での期限付き)。
これにより、これまで以上に保険の種類が増え複雑化していくことが予想されます。
より良い商品を選ぶ目が必要となるでしょう。
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共済とは? |
2006年10月05日
保険と共済の違いについて説明します。一般的に保険は保険業法という法律に基づいて金融庁の認可を得た保険会社が取り扱うものを言い、不特定多数の人を
対象にしています。
これに対して共済の場合はその対象を特定の地域・職業などの特定の団体に限定しており、助け合いの仕組みをとっています。
さて、一口に共済と言ってもさまざまで、みなさんお馴染みの全労済やJA共済といったものから一時期話題になったオレンジ共済のような怪しげなものまで共済
も色々あります。
全労災や共済は根拠法も持つ共済として、持たない共済とは区別されます。根拠法を持つ共済を「認可共済」、逆に持たない共済を「無認可共済」といいま
す。誤解しないでいただきたいのですが、無認可共済は違法ではありませんし、大半の共済は怪しくはありません。さてその無認可共済ですが、本年4月に保険
業法が改正され、保険業法の規制を受けることになりました。どう変わったかについては、次回に回したいと思います。
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世界のお金持ち |
2006年09月24日
お金持ちといえば誰でしょう?日本で言えば、IT産業の社長とか大手企業の役員さんなどでしょうか。昨年は、ある投資会社の社員さんが所得税納税額1位でし
たね。
ちなみに、先日米経済誌フォーブスが発表によると、米国内の資産家のうち、ソフトウエア最大手マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が資産総額530億ドル
(約6兆2000億円)で13年連続で首位ということでした。まあ予想通りですね。
2位は著名投資家のウォーレン・バフェット氏の460億ドル、3位はカジノ・ホテル経営のシェルドン・アデルソン氏の205億ドルだそうです。
100万円を触るだけでおどおどしてしまう私からみれば、想像も付きません。2ヶ月ほど前、上記のウォーレン・バフェット氏が4兆円をビル・ゲイツ氏の運営
する慈善団体に寄付した言う記事を見ました。お金は稼いでも使い方を知らない人が多くいるなかで立派な人だと思いました。お金持ちはかくあるべきでしょう
ね。
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団体信用生命保険 |
2006年09月16日
団体信用生命保険(以下「団信」と呼びます)は、住宅ローンの返済途中でローン契約者が死亡・高度障害状態になった場合に、本人に代わって生命保険会社
がローン残債を支払う仕組みです。団体扱いの生命保険のため保険料は安めで、また加入時年齢による条件の差もありません。
多くの金融機関がこの団信加入を貸付の要件としていますので、借入時に健康上の問題があると借入ができないこともあります。ただし、公庫やフラット35
などでは任意加入となっています。民間ローンのなかには3大疾病特約付きの団信などが用意されているところもあります。
この点、民間ローンでは団信保険料は銀行側が払うと思われていらっしゃる方もいらっしゃいます。実際そう説明する銀行員もいます。しかしそれは間違いです。団信加入が条件の民間ローンはあらかじめローン金利に保険料率が上乗せされています。したがって、住宅ローンの金利を見る際には、団信保険料が含まれているのかどうかを必ず確認した上で、総返済額で比較すべきです。
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プリペイド型電子マネー |
2006年09月10日
クレジット型の電子マネーにはいまだに抵抗のある筆者ですが(クレジットカードは仕方なく一つだけ持っていますがまず使いません)、プリペイド型の電子
マネーには興味があります。「Suica」、「Edy」、「nanaco」、などがありますが、九州地区では「Edy」カードがメインですね。
電子マネーのメリットは、キャッシュレスであるがゆえにコンビニなどで小額の買い物をするときに小銭を出すわずらわしさがないという点でしょう。さら
に、クレジットカードなどに比べると、安全性に優れていると思います。
現在の問題点は、利用できる場所が少ないという点とカードの種類が多すぎるという点でしょう。まあ、まだ普及が始まったばかりですからこれからの動向に注目していきたいところです。
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フラット35パッケージ |
2006年09月02日
最近は、かなり有名になった住宅金融公庫と民間金融機関の提携融資「フラット35」ですが、単品でローンを組むには都合が悪い場合もあります。
そこで、今回はフラット35パッケージについて説明したいと思います。
「フラット35パッケージ」とは、長期固定金利のフラット35と低金利のメリットを受けられる「変動金利型」「固定金利期間選択型」の住宅ローンを、金融
機関が一体的にご融資する商品です。
これには、以下のメリットがあります。
①金利変動に影響されないフラット35と低金利のメリットが受けられる「変動金利型」・「固定金利期間選択型」の住宅ローンを併せて借り入れることで、将
来の金利変動リスクが軽減されます。
②万が一、返済が困難になった場合、住宅金融公庫と金融機関が協調して返済条件を変更するなどの相談に乗ってくれます。
③併せる住宅ローンは、基本的にフラット35と同様、職業、勤続年数等による申込要件がありません。
④フラット35の中間資金としてプロパーローン融資分を先行・分割受給することができます。(つまり、土地代の融資を先に受けることができます)
熊本では、肥後銀行や熊本信用金庫が扱ってます。
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老齢基礎年金の支給要件 |
2006年08月25日
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算して25年以上ある人が、65歳に達したときに支給されるのが原則です。ただし、特例として
合算対象期間があれば、保険料納付済期間と保険料免除期間が25年に満たない人でも支給されます。
保険料納付済期間…第1号、第2号、第3号被保険者の期間です。
保険料免除期間…第1号被保険者(自営業等)の期間のうち、保険料の納付を免除された期間です。免除には、全額免除と半額免除があります。また平成18年
7月1日から「4分の3免除」と「4分の1免除」が加えられます。
合算対象期間…カラ期間」ともよばれ、受給資格期間には算入されますが国民年金の保険料を納付していないことから年金額を計算する場合には算入されない期
間です。
さまざまなパターンがあるので、代表的なものだけを挙げます。
①昭和36年4月から昭和61年3月までのサラリーマン(厚生年金や共済組合等の加入者)の配偶者であった期間(別名で配偶者期間ともいいます)
②日本国民で海外に居住していた昭和36年4月以降の20歳以上60歳未満の期間
③平成3年3月以前の学生であった期間のうち20歳以上60歳未満の期間
④厚生年金や共済組合の加入期間のうち20歳未満の期間、または60歳以上の期間
⑤昭和36年3月以前の厚生年金や船員保険の加入期間
⑥厚生年金の脱退手当金を受けた期間のうち昭和36年4月以降の期間などです。
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地震保険料控除 |
2006年08月17日
最近は、地震の数が増えたように感じます。そこで地震保険の加入率を調べてみたのですが、平成16年度末で18.5%でした。15年度が17.2%、14年度が
16.4%なのでまだまだ加入している世帯は少ないですが、近年着実に増加しているようです。(ただし、東京などの注視されている地域は、40%を越える加入
率です)
さて、地震保険を検討されている方に朗報です。平成18年度税制改正で新たに地震保険料控除の導入が決まりました。従来の損害保険料控除が改組されて創
設されるもので、年間5万円以上の地震保険料を支払っていれば、所得税で最大5万円、住民税で最大2.5万円の所得控除が受けられるものです。
単純に計算すると、所得税率が10%の場合で約5000円の節税効果が得られるわけです。その分だけ地震保険料が割引きされると考えることもできるでしょ
う。ちなみに、平成19年分以後の所得税、平成20年度分以後の住民税について適用されます。
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在職老齢年金 |
2006年08月05日
在職老齢年金とは、60歳以降働いた場合は、年金が減額されるというものです。
今回は、60歳代前半(60~64歳)の厚生年金の減額方法について説明したいと思います。以前は、60歳代前半で給与をもらっている人は年金が一律2割カット
されていました。しかし、高齢者の働く意欲を高めようということで、2005年4月から、この2割カットがなくなりました。ただし総報酬月額相当額(月収+ボ
ーナス÷12)と基本月額(老齢厚生年金-加給年金)の合計額が支給停止調整開始額(28万円)を超えると、その超えた分の2分の1がカットされる制度は残
っています。そのうえで、総報酬月額相当額が支給停止調整開始額(48万円)を超えると計算式が変わってきます。複雑になりましたので、以下に場合わけを
します。
分かりやすくするために、総報酬月額相当額を給料、基本月額を年金と呼びます。
「→」が支給停止額となります。
①給料+年金が28万円以下
→支給停止額なし(全額受給できる)
②給料+年金が28万円超
a.年金が28万円以下
(1)給料が48万円以下
→(給料+年金-28万円)×1/2
(2)給料が48万円超
→(48万円+年金-28万円)×1/2-(給料-48万円)
b.年金が28万円超
(1)給料が48万円以下
→年金-給料×1/2
(2)給料が48万円超
→年金-48万円×1/2-(給料-48万円)
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国民年金基金 |
2006年07月27日
自営業者などの第1号被保険者は、老齢基礎年金(俗に国民年金と呼ばれる)しか支給されません。よって老齢厚生年金や退職共済年金などが老齢基礎年金に加え
て支給される民間のサラリーマンや公務員と比べると年金額が少なくなります。
そこで、第1号被保険者だけに設けられている年金制度が、老齢基礎年金に上乗せする国民年金基金です。加入は任意で、都道府県ごとに設けられている地域
型基金と、職種別に設けられている職能型基金があります。
メリット
・上乗せ年金がもらえる。
・「死亡」した場合、遺族に一時金が支給される。
・税制面の優遇がある(掛け金は社会保険料控除、年金は公的年金控除が受けられる)
除外者
ただし、1号被保険者でも①保険料納付の免除を受けている人②農業者年金の被保険者の人は加入できませんのでご注意ください。
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ゼロ金利政策解除と国債 |
2006年07月19日
ついに7月14日に日銀はゼロ金利政策を解除しました。さっそく各メディアはその家計への影響について、特集を組んでいました。特に金融資産と住宅ローン
への影響が大きいのですが、今回は中でも国債への影響を考えて見ましょう。
国債にはさまざまな種類があります。たとえば、7月に発行された国債(新発債)を見ると、5年利付国債・2年利付国債・個人向け国債(5年固定型)・個人向け
国債(5年変動型)などがあります。それぞれの利回りを見てみると、
・5年利付国債・・・1.27%
・2年利付国債・・・0.75%
・個人向け国債(5年固定型)・・・1.30%
・個人向け国債(10年変動型)・・・1.1%(1回目)
となっています。
国債が特かどうかは、他の金融資産と比べてみる必要があると思います。そこで、2年利付国債と銀行の2年定期金利とを比べてみましょう。
・三菱UFJ銀行・・・0.3%
・みずほ銀行・・・0.25%
・イーバンク・・・0.6%
・オリックス信託銀行・・・0.6%
となっています。(2006年7月19日現在)
以上からわかるように、単純比較すれば、同じ期間お金を預けるなら国債のほうが現在のところ有利のようです。
次に、国債を選ぶならどのような国債を選ぶべきかということですが、ポイントは、現在金利が上昇したとはいえ、まだまだ低いです。つまりこれから徐々に
上昇していくと考えられますから、今は、変動金利型の商品か短期固定型の商品を選ぶべきでしょう。しかし、先にあげた個人向け国債(5年変動型)は、発売
されるや否や数日で完売となっていますので、購入を希望される方は、その日程をチェックしておく必要があると思います。
ちなみに、財務省で個人向け国債のお知らせメールを配信しています。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kojinmuke/index.html
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裁定取引 |
2006年07月13日
株式、貴金属、為替、金利、商品など、多くの金融商品や商品先物は世界中の市場で日々取引されています。そのため、同じ商品であっても市場の違いにより価
格差が生じたり、現物の取引価格と先物の理論価格の間に価格差が生じたりすることがあります。この価格差を利用して利益を獲得しようとする取引を裁定取引
と呼びます。裁定取引はサヤ取りとも呼ばれます。
たとえば、お米が熊本では1Kg3000円、東京では1Kg5000円で取引されていたとします。このとき熊本でお米を買って、東京で売れば、何のリスクもなく
2000円の利益を得ることが出来ます。
違う例で、金と銀の取引価格に高い相関関係があるとします。金が1g1500円のとき、銀は1g100円が通常の相関関係だとします(あくまで例です)。あるとき
金が1g1000円で銀が1g500円だったとします。
そうすると金は銀に対して割安、銀は金に対して割高になります。このとき金は買い、銀は売りということになります。
実際には、取引コストや取引に必要な資金調達コストなどが存在するために、上記のような単純な取引とはなりませんが、このような価格差が生じると、瞬時
に裁定取引が介入するため、価格差は縮小し、結局は同じレート・価格に収斂(しゅうれん)することになります。このような裁定取引を専門とするディーラー
や市場参加者をアービトレージャー(裁定取引=アービトレージ:arbitrageを行う人)と言いますが、アービトレージャーは、常に世界中の市場に目を光らせ
ながら、わずかな差を瞬時に捉えて利益の獲得を狙っています。
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国民年金は、損なのか? |
2006年07月06日
国民年金は、払った保険料の分だけもらえないから損だという話を聞いたことがあります。本当でしょうか?検証してみましょう。
現在の国民年金保険料は、月額13,860円です。ただし、平成29年まで毎年280円ずつひきあげ、最終的には16,900円となることが決まっています。
そこで、16,900円として計算してみましょう。
(40年間の払い込み保険料)
16,900円×12月×40年=8,112,000円
一方、もらう年金額は、現在満額780,900円です。
(80歳まで年金を受け取る場合)
780,900円×15年=11,713,500円⇒返戻率 約144%
(85歳まで年金を受け取る場合)
780,900円×20年=15,618,000円⇒返戻率 約193%
以上からわかりますように、20年間年金をもらうと、なんと払った保険料の2倍近い受取額となります。なぜこのような払戻率になるかというと、保険料が、国
から3分の1の補助があるからです。しかも、将来的には2分1まで引上げの予定(平成21年度を目標)です。
ただし、これは将来的に年金が減額されないことを前提に話をしていますので、もし年金が減額されれば、上記のような払戻率は確保されません。しかし、大
幅に払戻率が下がることは考えられませんので、お得であることには変わらないでしょう。
また、一家の大黒柱に「もしも」のことがあった場合、残された奥様やお子様(一定の条件あり)などは遺族基礎年金を受け取ることができ、ご本人に病気や怪
我によって体に障害が残ってしまったときは、障害基礎年金が受け取れる点も、優れていると思います。
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遵法精神で利益を出そう! |
2006年06月28日
コンプライアンスという言葉を皆さんはご存知でしょうか。これは、金融機関が守らなければならない遵法のことです。しかし、これは投資家にとっても大事
なことです。日本は法治国家ですから、法を守っている限り、国が私たちの活動を応援し保護してくれます。逆に法を無視すれば、国は守ってくれないだけでな
く、自ら制裁をしてきます。
時折、法を無視して大きな利殖を目指した人が、逮捕されたりするニュースを見ます。その多くは、知識を持ち、リスクを最大限に押さえながら財産を増やし
ていった人ですが、最後に「法を犯す」という大きなリスクをとってしまったのです。
たとえば、次のような話を聞いたこと、体験したことはありませんか。
●未公開株を無登録業者が販売していた
●年金運用に購入した海外のヘッジファンドが破綻していた
●悪徳業者の高利回りファンドに投資した金が返ってこない
●外為為替証拠金業者がお金を預かったまま倒産してしまった
もちろん上記はすべて、詐欺です。もちろん売ったほうが悪いのですが、引っかかった人も悪いと思います。なぜなら適法でないからです。投資はすべて自己
責任です。知らなかったから、なかったことにしてとは言えません。ぜひ遵法精神で大きく儲けましょう。
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TOB |
2006年06月21日
阪急ホールディングス(HD)の阪神電気鉄道株の公開買い付け(TOB)が成立しました。
そこで、今回はTOBについて説明したいと思います。TOBは英語の「Take Over Bit」の頭文字を取った略語で、日本語では「株式公開買い付け」と訳され
ます。ある企業の株式を大量に取得したい場合に、新聞広告などを使って一定の価格で一定の期間に一定の株数を買い取ることを表明し、不特定多数の株主から
一挙に株式を取得する方法のことです。株数が目標に達しない場合には、買い付けをすべて取り消すことができるなど、購入希望者にとって使い勝手のいい株購
入の手段です。
このTOBには、「敵対的なTOB」と「友好的なTOB」があります。敵対的TOBというのは買収される側が株の買い集めに同意していないにもかかわらず、一
方的に株式の買い付けを宣言する場合です。これに対して友好的TOBは、被買収企業が株式の購入に同意して協力的なケースで、M&Aなどをする際によく利用
されています。
今回のTOBは阪神電気鉄道の同意がありますので、「友好的なTOB」と言えます。
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積立いきいき生活傷害保険② |
2006年06月13日
前回お話した「積み立ていきいき生活傷害保険」ですが、その1番の魅力は利回りの高さでした。今回はなぜそのように高い利回りを確保できるか説明しま
す。
その理由は、税制にあります。この保険商品は一時所得なのです。
銀行や郵便局が取り扱っている預貯金の利息は、源泉分離課税(20%)です。ところが保険商品はちょっと違います。期間が5年までのものは、預貯金と同じ
金融商品として取り扱われ、満期返戻金や配当金などに源泉分離課税(20%)が課されますが、加入(解約までの期間)が5年を超えると一時所得扱い(保険
料の負担者と保険金受取人が同一人の場合)になり、総合課税となります。一時払保険商品の一時所得(課税所得)の計算は、
(満期返戻金+配当金-一時払い保険料-特別控除50万円)×1/2=課税対象額
となります。この式からわかりますように「満期返戻金+配当金-一時払保険料」から50万円が控除できる、と言うことは「満期返戻金+配当金-一時払保険
料」が年間50万円以下であれば、実質非課税になるということです。したがって、高い利回りを確保できるのです。
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積立いきいき生活傷害保険 |
2006年06月01日
かつて高利率で貯蓄性保険の代表であった「一時払養老保険」ですが、近年では超低金利となり、場合によっては元本割れしているものもあり、その魅力も薄
れています。
ところが、それに似た商品で魅力的なものが、損害保険会社で復活しています。
それが「積立いきいき生活傷害保険」です。ネーミングセンスの悪さを除けば、その中身は注目に値します。
「積立いきいき生活傷害保険」は、一時払の保険商品です。期間は6年で、死亡・後遺障害に対する補償がついています。更に、入院・通院・手術を補償して
いる商品もあります。
保障もなかなか充実しているのですが、注目すべきは、その貯蓄性です。
今日のような金利上昇が考えられる時代には、「固定金利で長期間の運用は避ける」のが原則です。その点からも、保険期間6年は程よい期間です。年利率1%
程度で運用可能。しかも運用がうまくいけば(=予定利率を上回った場合)配当もでます。昨今の銀行の定期預金(0.320% 三菱東京UFJ銀行スーパー定期6
年300万円以上、2006年6月1日現在)と比較すれば、その利率の高さがお分かりいただけると思います。
なぜこのような高い利率が確保できるのかは、次回に説明したいと思います。
ちなみに、この保険を扱っている会社は、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上などです。
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年金と生活保護 |
2006年05月25日
歳をとって、生活が苦しくなったら、「生活保護」をうければよいので、年金の保険料を払うのは「バカらしい」という方を見かけたことがあります。本当で
しょうか?
公的年金は、働いて収入があるときに保険料を納付し、受給時にその実績にみあう額を、その時の個々人の経済状況に関わりなく一律に支給されるものです。
生活保護は、何らかの事情があって、すべての資産や能力、その他あらゆるものを活用しても最低限の生活をおくることが困難な場合に、公費(財源は税)か
らその不足する部分に限って拠出されている救貧的な意味合いのものです。
したがって、生活保護というのは、国民年金の老齢基礎年金のように、受給要件さえ満たしていれば、必ず一律に年金が受給できるものではなく、すべての資
産、能力などあらゆるものを厳格に調査した上でしか支給されないものなのです。
年金は、その使い道はまったく自由です。貯蓄しても良いし、遊びに使っても良いです。
しかし、生活保護として支給される保護費は、使い道が自由ではありません。あくまで最低限の生活費として給付されるものですから、そのお金でぜいたく品を
買ったりということはできません。猛暑でも、ぜいたく品とされるクーラーを買うことはできないということで問題となった例もあります。
以上からお分かりのように、年金と生活保護はまったく違うものですから、最初の疑問は見当違いであることがわかります。
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住宅ローン特約 |
2006年05月18日
住宅の売買契約を締結する際の多くの場合には、購入者は売買代金のすべてを自己資金でまかなうことは困難なため、金融機関から住宅ローン融資を受けて売
買代金の決済をする予定にしています。このため、購入者が手付金を支払い、売買契約を締結した後に住宅ローン融資が受けられないことになると、大変困った
ことになります。
不動産売買契約では、代金の支払期日に支払いをしない場合には、売主から相当期間を定めた催告を受け、相当期間内に履行ができなければ売買契約を解除さ
れることになります。この場合には買主の違約となりますので、違約金として売買代金総額の20%相当額の違約金を支払わなければならないと定められている
ことが少なくありません。
このため、購入者が住宅ローンにより住宅を購入する場合には、不動産売買契約において、購入者が住宅ローンを借りられなかったときは、契約を解除するこ
とができ、違約金等負担することなく手付金も返還されるという内容のいわゆる住宅ローン特約を付しているのが通常です。
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不服申立てと行政事件訴訟 |
2006年05月11日
イオングループが熊本市佐土原に計画していた大型ショッピングセンター(SC)について、10日、熊本市は開発を不許可にしました。
これに対して、イオン側は、市長への不服申立てや行政事件訴訟を検討しているようです。
そこで、今回は不服申立てと行政事件訴訟について簡単に説明したいと思います。
不服申立てとは、行政庁の処分等(許可、不許可などがその例)に関して不服のある人が、行政機関に対して不服を申立てるものです。不服申立てが行われると
行政機関がこれを審査して、違法・不当と認めれば是正や排除が請求されます。
不服申立てには、「異議申立て・審査請求・再審査請求」があります。
行政事件訴訟とは、行政作用によって国民に権利利益の侵害状態が生じているか、生じるおそれがある場合に、裁判所に対して訴えるものです。それを受けて
裁判所は、行政機関の行政権の行使にかかわる作為・不作為の適法性について審理をし、違法であればそれを排除し権利の回復を行います。
<長所と短所>
~不服申立ての長所~
費用が安く、専門知識をもつ判断で迅速。
審理の範囲が法律問題に限られず、裁量の当・不当の判断にも及ぶ。
~不服申立ての短所~
行政権が行政権を審査するので、十分な審理を尽くしえない可能性がある。
行政事件訴訟の長所と短所は不服申立ての逆になります。
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証券取引等監視委員会 |
2006年05月03日
先日堀江被告が保釈されました。そもそも、発端となったのが、証券取引法違反です。証券取引については、証券等監視委員会という機関が監視しているので
すが、今回はその証券取引等監視委員会について説明したいと思います。
証券取引等監視委員会は、「証券取引及び金融先物取引の公正を図り、証券市場及び金融先物市場に対する投資者の信頼を保持すること」を使命とする機関で、
金融庁に置かれています。
具体的な活動としては、犯則事件(犯罪調査の対象となる証券取引法違反等に係る事件のこと。具体的には相場操縦、内部者[インサイダー]取引等がある)の調
査・告発、課徴金調査、有価証券報告書調査、証券会社などの検査、市場監視、一般からの情報受付、検査結果に基づく勧告・建議、事務処理状況の公表が挙げ
られます。
こういった犯則事件の調査、証券会社などの検査、市場管理を行い、その結果として法令違反がみつかれば、告発することで刑事訴追を求めたり、勧告による行
政処分を求めるといった対処をします。
ところが、ライブドア事件では、最初に動いたのは東京地検特捜部でした。したがって、証券取引等監視委員会は、市場の監視や有価証券報告書の検査の中
で、事件を告発できなかったのか、事件がこれほど大きくなる前に食い止めることができなかったのかについて非難を受けることになりました。
それをうけて、政府は同委員会の監視体制の強化や権限強化を検討する方向のようです。
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元本保証と元本確保の違い |
2006年04月23日
「元本保証」と「元本確保」、一見同じように見えますが、実は違います。
「元本保証」とは、販売業者等が投資家・購入者等に対して、直接、元本の払戻しを保証することです。預金や貯金のように、手数料を引いても、税金が差し引
かれても、途中で解約したとしても、運用期間すべてにわたって、はじめに預けた資金より目減りすることがないものです。ただし元本保証を約束した金融機関
が破綻した場合は、「元本1000万円までとその利息まで」しか保証されません。
「元本確保」とは、元本を確保するような仕組みを備えているということです。ふつうは「満期時には元本を確保してお返しします」という意味で使われます。
一部の金銭信託や外国投資信託などで見られるしくみで、多くの場合は、集めた資金の一部をハイリスクハイリターン商品に回し、残りを安全性商品で運用する
ため、中途解約や為替差損が発生すると元本割れを起こすこともあります。「・・・・の場合は・・・になります」といったフレーズが重要な要チェックポイン
トです。
販売業者等は出資法により元本保証はできませんが、さまざまな技法を利用して、満期時等に元本を確保する仕組を作っているのです。
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転職時の手続き② |
2006年03月31日
前回は、任意継続の保険料についてお話をしましたが、その他にも違いがあります。任意継続被保険者の場合、失業期間中でも病気やケガで働けなくなったとき
は傷病手当金が、また、出産したときは出産手当金といった所得補償のための給付が受けられます。 なお、任意継続の場合、加入期間は最長2年となっていま
す。
手続きは、任意継続被保険者の場合、退職の翌日から20日以内に退職した会社の健康保険組合、あるいは政府管掌の健康保険に加入していた人は、自分の住所
地を管轄する社会保険事務所で行い、その際は印鑑と住民票、1カ月または2カ月分の保険料を持参します。 退職前の保険証の記号・番号が必要になるので、保
険証を会社に返却する前に控えておきましょう。
国民健康保険の場合、居住する市区町村の国民健康保険の担当窓口で手続きをします。手続きの際は、印鑑と退職日を明らかにする書類を持っていきます。 保
険料は金額決定後、納付書が送られてきますので、それに従って納めることになります。
次に国民年金です。
在職中は厚生年金に加入し、保険料は毎月の給与から天引きされていたはずです。 しかし退職後、失業期間がある場合は、「国民皆年金」の原則にのっとって
国民年金に加入しなければなりません。
年金は老後のためだけではなく、病気やケガで障害が残り、仕事に就けなくなったときに「障害基礎年金」によって最低限の保障が受けられたり、 配偶者や
子供を残して死亡したときに「遺族基礎年金」によって遺族が生活保障を受けられる制度でもあります。必ず加入手続きをしましょう。長期に加入を怠ると、将
来の受給額の減少や、受給資格に満たないこともあるので注意してください。
手続きは、住んでいる市区町村の役所・役場で行い、その際は年金手帳や印鑑、離職票、退職証明書など退職日を明らかにする書類を持参します。 保険料
は、収入の多寡にかかわらず月額1万3860円 (2006年度)。ただし、免除制度があります。後日送付される納入通知書に従って納入します。
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転職時の手続き① |
2006年03月25日
この春、思い切って転職・退職を考えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんな方へ役所手続きについて、FPの観点から知っておい
ていただきたいポイントをご紹介します。
まずは健康保険です。
健康保険は、すべての人の加入が義務付けられています。また、その他に40歳以上の人が加入する介護保険制度もあります。介護保険は、健康保険に加入すれ
ば自動的に手続きされ、一緒に払い込みをすることになります。
転職した場合は、転職先の健康保険に加入することになりますが、退職したときの健康保険の選択肢は (1) 国民健康保険に加入する、(2) それまで加入し
ていた政府管掌健康保険や組合管掌健康保険の任意継続被保険者制度を利用する、(3) 配偶者または親の被扶養者になる、の 3 つです。 ただし (3) の被扶
養者になる場合、年間の収入見込みは 130万円未満でなければならないので、雇用保険の失業給付を受けるような場合には適用されないこともあります。
名前は聞いたことがあるけど、詳しくは知らないという人が多いものが、(2)の任意継続保険者制度(略して「任意継続」)でしょう。
医療費の一部負担金は3割と、国民健康保険も任意継続も変わりません。しかし、最も大きな違いは月々の保険料額です。国民健康保険は各市区町村によって
運営され、住んでいるところと前年度の所得、保有資産などによってその額は違います。 任意継続の場合、それまで給与から天引きされていた額の2倍になりま
すが、上限額は、介護保険が適用されない場合で 2万2960円 (政府管掌健康保険の場合)。国民健康保険料と比べて判断することになります。国民健康保険の
場合は上限額が、約4万4000円ですから、所得が多い、又は保有資産価値が高い方は、任意継続を選択したほうが良い場合が多いでしょう。
つづく
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量的緩和② |
2006年03月17日
前回の続きです。今回は、量的緩和解除の家計への影響を考えてみたいと思います。
とりあえず、金利の上昇が考えられます。前回もお話いたしましたように、直接金利を動かす政策ではないので、金利の上昇がすぐに起こるということはないで
しょう。しかし、いずれは、徐々に金利は上がってくると思います。
金利が上昇すると以下の点に注意が必要です。
①住宅ローン金利が上昇する。
…特に変動金利や短期固定金利(2年~10年)で借り入れを行われている方は、注意してください。すでに住宅ローン金利の上昇はちらほら始まっています。
②金融商品は元本確保商品にも魅力が出てくる。
…これまで長く低金利時代が続いてきましたので、預金や貯金の金利が上昇することで、定期預金などの元本確保商品も魅力が増すでしょう。しかし、金利は
ほとんどゼロの状態からようやく上がり始めたばかり。今後、さらに金利が上昇することも考えられます。今後も金利が上昇すると予測できる場合には、長期間
金利を固定させてしまうよりも、短期間の固定型、もしくは変動金利型の金融商品を選んだ方がよいでしょう。具体的には、変動型の個人向け国債や、預け入れ
が短期間の定期預金などが考えられるでしょう。
③量的緩和解除は景気回復を示す。
…とすれば、株や為替はどうなるでしょう。まず、短期的な動きは別として、株価は長期的には上昇傾向にあると考えることができると思います。次に外貨で
すが、これまで日本は他の国よりも圧倒的に金利が低い状態にありました。しかし、今後金利が上昇すれば、状況は一変します。外国の人たちが日本円に興味を
持ち、投資を考える人が増えるかもしれません。そうなると、為替は円高に進む可能性が考えられます。
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量的緩和① |
2006年03月11日
先日ついに日銀は量的緩和を解除しました。そこで今回は量的緩和について説明したいと思います。
量的緩和とは、日銀の金融緩和政策のひとつで、世間に流通するお金の量を増やすものです。景気回復策のひとつです。
日銀がお金の量を調整する方法は、まず「金利」の調整です。日銀が市中の銀行にお金を貸す場合金利がつきます(これを「公定歩合」といいます)。公定歩
合が下がると、一般の銀行は日銀から低い金利で借り入れをすることができるので、それを企業や個人に貸し出すときの金利も下げることができます。金利が下
がれば、企業や個人は銀行から資金を借りやすくなり、世間に流通するお金が増えて、景気が良くなっていきます。
しかし、日本経済は長い景気低迷を続けていましたので、公定歩合はすでに実質的にゼロ近くまで下がっていました。したがってこれ以上下げることができませ
んでしたので、次に「金利」ではなく資金の「量」を調整としたのです。
市中の銀行はどこでも日銀に当座預金の口座を持っています。そこで、日銀は、銀行から国債や手形を買い取り、その代金を当座預金に振り込んでいきました。
その結果市中銀行の当座預金残高はどんどん増えていきました。
しかし、当座預金には金利がつきませんので、市中銀行はそのお金を企業と個人にどんどん貸し出していき、その結果世間に流通するお金が増えていくことにな
るというのが、日銀の量的緩和の狙いだったわけです。
直接的な政策ではないので、その効果の度合い不明ですが、不況対策への日銀の決意が明確となったため、一定の効果はあったと思います。
では、解除されたことによる影響はどうなのでしょう?その話は、次回にしたいと思います。
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出産・育児でもらえるお金② |
2006年02月27日
前回の続きです。
・出産手当金
産休をとった場合、職場の健康保険からが出ます。
額としましては、1日あたり給料の6割です。
支給期間は、出産前42日分と出産後56日分
こちらも前回の出産育児一時金と同じく2年以内に請求となります。
また、この出産手当金は、1年以上勤務して出産退職をした人でも退職後6ヶ月以内に出産すればもらえますので注意してください。
さらに産休後、職場復帰をする人には「育児休業基本給付金」と「職場復帰給付金」がもらえます。こちらは男性女性問わずもらえます。
給付額は以下のとおりです。
・育児休業基本給付金・・・休業中の生活費援助
もらえる額 = 休業前の給与の30% × 育休月数
・育児休業者職場復帰給付金・・・職場復帰後6カ月経った時点で受け取れる
もらえる額 = 休業前の給与の10% × 育休月数
例:月給20万円の人が10ヶ月育休をとった場合
<育児休業基本給付金>
20万円×0.3×10ヶ月=60万円
<育児休業者職場復帰給付金>
20万円×0.1×10ヶ月=20万円
まだあります。続きは次回に・・・
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出産・育児でもらえるお金① |
2006年02月14日
昨今少子化という言葉をよく聞きます。2005年6月に発表された2004年の出生率は、1.29%でした。何とか2003年と同じ数値でとどまりましたが、大使か
に少子化は進んでいます。理由はやはり、女性の社会進出と育児費用負担の増加でしょうか。女性の社会進出は大いに進めるべきと思いますが、その際には男性
の協力と子育てしやすい環境を作っていくことが大事でしょう。その話はまた別の機会にまわすとして、今回は、育児費用負担の増加への対処策を考えてみま
す。
そこで、「出産・育児でもらえるお金」と題して整理したいと思います。
・出産育児一時金
健康保険・国民健康保険・に加入している人、または被扶養配偶者なら誰でも、子供1人につき30万円もらえます(双子ならもちろん60万円)。さらに、2006
年10月から35万円にアップします。ちなみに、妊娠85日以上で死産や流産をした場合でも、支給対象になります。
もらい忘れた方は、出産に2年以内なら請求できます。
手続は、保険者が「○○保険組合」ならその組合かまたは職場の総務など、「社会保険事務所」なら会社を管轄している社会保険事務所、市区町村になってい
れば役所(担当部署は役所で異なる)で行うことになります。請求書も上記の場所でもらえますので、事前にもらっておきましょう。
まだまだあります。続きは次回に…
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平成18年住民税改正(2006年税制改正大綱より) |
2006年02月02日
現在の住民税の税率は課税所得200万円以下5%、700万円以下10%、700万円超13%となっています。これを改正案では、一律10%と一本化するようです。
詳細としましては、道府県民税4%、市町村民税6%の合計10%です。
一方、所得税の税率は現在、課税所得330万円以下10%、900万円以下20%、1800万円以下30%、1800万円超37%の超過累進税率(所得が増えるにしたがっ
て税率が高くなる仕組み)となっています。これを改正案では195万円以下5%、330万円以下10%、695万円以下20%、900万円以下23%、1800万円以下
33%、1800万円超40%の超過累進税率とするようです。
ちょっと注目すべきは、195万円以下の所得の人の所得税率が5%に減税されている点です。しかし一方で住民税は10%に増税されていますから、これを整理す
ると次のようになります。
現行⇒所得税10%+住民税5%=合計15%
改正案⇒所得税5%+住民税10%=合計15%
つまり、国から地方へ税金の財源を移譲することこそがこの税制改正の目的であるといえます。これは以前このページで取り上げた三位一体改革ひとつである税
源移譲の第一歩というところでしょう。
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預金連動型の住宅ローン |
2006年01月21日
最近注目している住宅ローンに「預金連動型」というものがあります。今のところ日本では、東京スター銀行だけが扱っているようです。
「預金連動型」の住宅ローンとは、住宅ローンと預金口座をセットにし、住宅ローン残高のうち、預金残高を超えた部分のみに金利がかかる、つまり預金残高
までは金利がゼロになるという住宅ローンなのです。
したがって、預金を増やせば増やすほど実質金利を軽くできるということになり、これは繰上返済をしたのと同じ効果が得られるのです。繰上返済は、手許資金
を減らしてしまいますが、この仕組みであれば、預金として手許に残しておくことができますので、万一資金が必要になった場合には取り崩して利用できるとい
うメリットがあります。
ただし、もちろん注意点があります。預金との差額にかかる金利は、購入価格に対する借入額の割合によっては基準金利に上乗せ金利がプラスされ、他のローン
より高くなることもあります。たとえば、購入価格の6割超8割以内の借り入れの場合0.3%の金利上乗せが行われます(H18年1月4日現在)。したがって、預金を
計画的に増やしていくことができない場合には、金利負担が重くなってしまうこともありますので、住宅購入後の貯蓄計画を十分に立てて利用することが重要で
す。
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シーズンストック |
2006年01月11日
最近株式市場は個人投資家も増え、おおいに賑わっているようです。
さて、季節性のある材料をきっかけに買われることが多い株式を「シーズンストック」といいます。たとえば、冬場であれば暖房器具や防寒服、夏場であればエ
アコンや飲料水、春先であれば花粉症対策として、目薬やマスクなどといった具合にそれらを生産・販売している企業の株価が上昇するというものです。
ただし、注意点があります。いずれもシーズン真只中ではその株価は下降する傾向があるということです。つまり、そのシーズンを迎える前に予想して株式を
購入するのでそれよりも前に株価は上昇するのです。
株式相場には「麦藁帽子は冬に買え」という格言があります。これは、まだほかの人が誰も見向きもしない時期に安値で仕込み、買い手が増えて高くなったと
きに売れば、利益を上げる可能性が高いという意味です。シーズンストックに当てはめると、需要期に飛びつき買いをするのではなく、その前の時期に、天候や
気候の予測を参考に買っておくのがポイントなのです。それがうまくいけば、利益を得ることができます。
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診療報酬引き下げ |
2006年01月06日
昨年の12月18日に政府・与党は、医療機関に支払われる診療報酬の06年度改定について、全体で3.16%引き下げることを決めました。その一方で高齢
者(70歳以上)の医療費の窓口負担も今後増えることが確定しています。これについて私個人の意見を述べたいと思います。
今後高齢者の人口が急速に増え続け、しかも高齢者の医療費が他世代に比べ突出して多いのですから、高齢者の自己負担額を増やし、税や現役世代の負担を軽く
しようとする試みは、やむを得ないと思いますが、医療費の半分が医療関係者の人件費に当てられている現状には問題があります。
診療報酬引き下げは、収入が減る医療機関側のコスト抑制が行き過ぎると医療の質の低下を招くとの指摘もあります。確かにその指摘も的外れではないと思いま
すが、保険診療をしている医療機関の収入は、税金と健康保険であり、国民が負担しているという点で公務員に準じるものなので、公務員の給与引き下げが行わ
れている現在、医療機関だけ例外というわけにはいかないのではないでしょうか。